「サービス向上運動」を失敗させないための12のポイント
大きな会社、お店に行くと良く見かける言葉。
サービス向上運動。
スローガンやお題目は立派なのですが、こんなポスターを掲示しているところで感動するサービスに出逢ったことは少ないですね。
・大きな声でお見送り
・お辞儀の角度は45度。
確かに悪い気はしませんが、その見掛け倒しの接客に感動してお客様が繰り返し来てくれる訳ではありません。そして延々と集客の為に多大な労力とコストをかけることになるのです。
従業員の接遇教育に悩んでいる経営者も多いです。
朝礼で「いらっしゃいませっ!」「ありがとうございましたっ!」と練習をしてお客様から感謝されましたか。スタッフも大きな声を出すことで、「この会社を選んで良かった、働けて嬉しい」と経営者に感謝していますか。
接遇や接客だけを学ばせても、サービス向上には限界があります。
では、なぜうまく行かないのか、どうすれば真のサービスレベルアップに繋がるのか、これからポイントをお話しましょう。あなたの仕事に明日から生かせるヒントがあるはずです。
●ポイント その1
サービスは「挨拶やお辞儀」ではないことを理解する。
まずはリラックスして頂きたいので、肩の力を抜いてお読みください。
友人から聞いたばかりの話です。
そのお店は半地下に入口があって、5段ほどの階段を下りる構造になっていました。
雨が降っていたのですが、友人がお店に入ろうと階段を下りた瞬間、足を滑らせてすっころんでしまったのです。
お尻に青いあざができるほど派手に転んで、そのまま5段の階段を「大の字」になって落ちて行きました。
そして階段の一番下にある入口まで来たら自動ドアがすっとあいたのです。
店員さんは、ひと言元気に
「いらっしゃいませ〜」
大の字になった彼女への第一声でした。
自動ドアが開いたら「声かけ」がマニュアルだったのでしょうか。
お客様の顔を見て「心を込めて声をかける」と教えていなかったのでしょうね。
顔もあげないで無意識に自動ドアに反応した店員さん、大の字に仰向けになった彼女をみてさぞびっくりしたことでしょう。
挨拶やお辞儀でサービス向上を考えるのは止めましょう。
●ポイント その2
サービスは「おまけや値引き」でないことを理解する。
おまけや値引きは簡単な作業です。誰にでもできます。脳みそで汗をかく必要もありません。
ただ、誰にでもできると言う事は「すぐにマネをされる」ことでもありますから、大手の量販店など体力や資金力がある会社以外は「値引き競争」には参入しないのが賢明です。
大切なことは「私たちはおまけや値引きだけでモノを買うことを決めていない」と言う点です。
ご自分の経験からしても、タダが大好き、安いがイチバンと言う価値観を持っている方以外は、TPOに合わせて、サービスの購入を決めているのではないでしょうか。
お客様の「どのTPOの場面で」自社のサービスを買ってもらいたいか、と言うことをはっきりさせておくことが大切です。
おまけや値引きは、セールスの手段としては有効なときもありますが、サービスではないことを肝に銘じておきましょう。
●ポイント その3
サービスは、誰の幸せの為に行なうのか、を理解する。
皆さんはなぜ、良いサービスを提供したいとお考えになったのでしょうか。
「当たり前だろ、お客様に喜んで頂きたいからだ!」
その通りですね。33点さし上げます。
あとの67点をぜひ、見つけてください。
私はサービスとは3人の幸せの為にあると考えています。
一人目はもちろんお客様
二人目は頑張ってくれている従業員
そして三人目は、経営者であるあなた
です。この合計で100点。
お客様を大切に考えることはもちろん重要ですが、多くの成功している会社は従業員の幸せを真剣に考えています。
ここで間違えないで頂きたいのは「福利厚生」を充実させたり、多額の給料を払うことが「大切」の意味ではないと言うことです。
あなたはお金さえあれば幸せでしょうか。
お金だけでは幸せを感じられないことを、誰もが理解しています。
働くことの意味、そこで幸せを感じると言うことは
「自分を必要としてくれる」ことが確認できること、そして
「自分の得意なことで、人に喜んでもらえること」
ではないでしょうか。
私は経営者ですから、自社のスタッフたちがそう感じてくれたら「本当に会社を作って良かった」と経営者の醍醐味に浸ることができるでしょう。その為に日々努力しています。
先日、うちのスタッフが「いやあ、この仕事は3日やったら止められない。本当に」と口にしてくれた時は本当に嬉しかったです。
これが私が提唱している3つのHAPPYです。
皆でHAPPYになりましょう。HAPPYにひとり勝ちはありません。
●ポイント その4
「できないこと、やらないこと」をはっきり決める。
何でもやります、お任せください。の御用聞き商売が日本には蔓延しています。
この御用聞き手法が日本のサービスをダメにしたと言っても過言ではないでしょう。
お客様は神様、と言って日本のサービスをダメにしてしまった人(あえて名前は伏せます)の罪は重いでしょうね。
もちろん傲慢で良いと言うことではありません。
「お客様に喜んで頂き、感謝して頂く」ために「できることを精一杯やる」ことは大切です。
でも、もっと大切なことは「やらないこと」を決めることです。
「やらないこと」を決めることで、やるべきことが明確になりサービスの質が一気に高まります。
ウソだと思ったら、やってみてください。
やらないことを明確にすると「サービスが良くなった」とお客様から感謝されます。
苦痛な表情で奮闘している営業マンや経営者は、低いサービスレベルでなんでもやってしまい、結果的に何もかもが中途半端になってしまっています。これではサービスに専門性もなにもあったものではありませんよね。
●ポイント その5
価格以外で勝負できる体質を作る。
不況だと言われています。なぜ政治も新聞も「不況から脱しきれない」といい続けるのでしょうか。
それは「社会が不況でないと困る」業種、業界、団体、個人の人がいるからです。
不況だと仕事が増える業種。ありますよね。
「サービスで勝負」する人たちには不況は無関係です。小さなお店でも繁盛し続けている会社があります。エンターテイメントや冠婚葬祭、医療や福祉も然りです。サービスのレベルを究極まで高めている人たちには不況なんて言葉はありません。
「うちの業界は価格競争が激しくて」大変だとおっしゃる方もいます。
百歩譲って“大変なこと”は認めます。では、まったく方法はないのでしょうか。
あなた以外の会社が「方法はない」と諦めているなら、あなたにはとてつもない大きなチャンスが広がっているのではないでしょうか。ポイント11にもヒントがあります。
高いほうへの「価格破壊」の第一歩。
まずは「高く買って、感謝して頂けた」と言う体験をひとつ作りましょう。
それがスタッフにとっても、あなたにとっても大きな自信に繋がります。
●ポイント その6
サービス力不足を、従業員のせいにしない。
良く経営者の方がボヤきます。
「うちのスタッフはレベルがまだまだだから・・・。」
そう言うボヤキは、経営者がやるべきことをやってからにしましょう、と言うのが私の考えです。
サービスは接客や接遇だけで決まるものではありません。
接客以外のさまざまなしくみを作らずに「スタッフのレベル」を議論するのは順序が違っています。もちろんこれらは平行して取り組んでいくことでもありますが、あなたの会社が“超体育会系”を売りにしているのでなければ、まずはサービスシステム(会社としてのサービスのしくみ)を作ることに全力を注いで下さい。
●ポイント その7
リピーターを増やすことに全力を注ぐ。
私自身会社を経営していて、本当に不思議なことがあります。
世の中の多くの会社はどうして「リピーター」を増やすことに、もっともっと多くのエネルギーを注がないのでしょうか。“そで触れ合うも他生の縁”。
何かのご縁でお客様との接点があったのに、もう一度足を運んで頂くためのあらゆる努力をどうしてしないのか。
集客は大切ですが、永遠にイチゲンさんを集め続ける労力もコストも、多大なものになるはずです。
「うちはリピーターが少ないから。」経営者の方から何度も聞いたセリフです。
経営者が諦めてしまっては、スタッフがあまりに可哀想です。リピーターが増えると、スタッフのやる気が驚くほど高くなります。本当です。「給料が安い」と文句ばかり言っているスタッフにお悩みの経営者の方は、ぜひリピーター率をあと10ポイント高めてください。
数値化しやすい分野なので、スタッフも取り組みやすいはずです。
●ポイント その8
クレームに笑顔と感謝で対応する。
クレームを「処理」しようとしてしまうセンスには注意が必要です。
確かに悪意のあるクレーム(と言うか恐喝や嫌がらせ)には毅然とした態度が必要です。
しかし、世の中のクレームといわれるもののほとんどは「指摘」であり「伝えたい、話を聞いて欲しい」とのサインです。これを冷静に見極めた上で感謝し、更にマーケティングのしくみとして売上やスタッフの教育につなげていくことが大切です。
クレームと言う「お客様の声」の裏から聞こえてくる“音色”が聞き取れるようになりましょう。
●ポイント その9
サービス理念を経営者と従業員が共有する。
あなたの会社にはサービス理念がありますか。自社が提供するサービスを通じて、社会にどんなことを伝えたいのか。そこまで大きな話ではなくても「どんな形で、どんなお客様に喜んで頂きたいと思っているのか」この理念を経営者とスタッフが共有できている会社こそ、最高のサービス力を発揮するこどができるのです。
理念は難しい言葉で語る必要はありません。「サービスを通じて何を伝えたいのか」ぜひスタッフと一緒に考えてみてください。日頃はおとなしいスタッフが、突然ものすごい理念を提案したりして驚くことがありますよ。スタッフの潜在能力を引き出すきっかけにもなります。
●ポイント その10
サービスの“スピードと量”にこだわる。
サービスは、多くの場合“スピード”が命です。スピードの遅いサービスは「サービスが悪い」と感じさせてしまいます。(例外はもちろんあります)サービスのスピードにはとことんこだわりましょう。そして量にも。身近な例で言うと、レストランで頻繁に水やお茶を追加して「ごゆっくりどうぞ」と笑顔で接してくれるお店は、感じがいいですよね。量をしくみにすることも大切です。
●ポイント その11
サービスは業界の外で学ぶ。
私は「旅行業界」と言う業界に所属しています。しかし、誤解を恐れずに言えば、自社が所属している業界から学ぶことはほとんどないと断言します。サービスにこだわりを持つ経営者は、異業種のサービスから多くのことを学んでいます。
不況だと言われますが、ホテルは建設ラッシュ。東京や大阪だけでなく地方都市にも新しいホテルが続々と建っています。たとえば例をあげてみると、一気に全国にチェーン展開している「東横イン」。
このホテルの東京・品川にある「東横イン品川高輪口」は昨年の2月から15ヶ月満室が続いています。(4月17日付日本経済新聞)
東横インはこの品川のホテルを開業するときに、原価計算をした上で利益率を計算し、決めた売値はシングル1泊3,000円台。周りのホテルから「そんなに安く売らないで欲しい」と懇願されて、仕方なく設定価格を上げたそうです。それでも満室。このホテルは異業種からの参入ですから、既成の概念にまったく捉われていないのです。
世の中に存在するすべてのサービスから多くのことを学べます。あるセミナーに参加された方の感想アンケートで「違う業界の話がとても参考になった」と書かれた方と「狭い分野の限られた事例を聞いても何の参考にもならない」と書かれた方がいたそうです。
どちらがサービスの学びとして前向きかは明らかですね。学問として学ぶ方は別として、学びを実践に移したい方には「業界の外で起きるすべてのこと」から学ばれることをお勧めします。
●ポイント その12
サービスセンスを育てる。
人間のセンスは、どこまで育てることができるのでしょうか。
難しい質問ですね。「センスがもともとない人には、あとからセンスを植えつけるのは無理。」
そう言う考えもあります。簡単に答えを出してしまうと「サービスセンスやスキルがある人を採用する」のが近道です。しかし、学歴や職歴、サービス業としての経験などに関わらず「センスがみるみるうちに育つ人」も大勢見てきています。
センスは「センスのある人の下では育つ可能性が高い」「経営者や管理職にセンスがないとどうしようもない」のではないでしょうか。
人間の潜在能力は、表面的なもの以上にものすごいと、私は考えています。
「うちのスタッフにはセンスがないから」とおっしゃる経営者の方は、経営のさまざまな責任をそういった形でスタッフに転嫁している例が多いように感じることがあります。
まずは自分のサービスセンスを育てる努力から始めてみませんか。
以上、「サービス向上運動」を失敗させないための12のポイントについてお話ししました。少しでもお役に立てれば幸いです。
あなたの会社のサービスが向上するかどうか、そして他社との圧倒的な差別化を図ってビジネスが成功するかどうかは、経営者であるあなたやマネージメントに携わる人の「サービスの正しい知識と行動」次第です。
正しいサービス意識を学び、習得すれば、御社のサービス戦略は成功したようなものです。
ぜひ「日本でただひとつのサービス」を目指してご活躍ください。
心から応援しています。
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それではこのホームページをぜひ隅々までお読み頂いて、あなたが素晴らしいサービスを提供されることを、お祈りしております。
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