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全ての顧客ニーズに応えることが、本当のサービスだと言えますか

あなたのサービスは今日も間違っている!
ご奉仕サービスで自己満足

●演歌・浪花節で利益はちゃんと出ていますか?
いつやって来るかわからない信頼関係や、自分だけが思っている「困ったときはお互い様」のために誠心誠意ご奉仕する経営者は多い。

そんなにひどくない経営者でも、マネージャーや店長にしっかりとご奉仕サービスを止めるように社内教育をしているケースはないといっても過言ではない。

今、カフェで原稿を書いているのだが、隣で20代前半の女の子が2人話をしている。
その話の内容がとてもおもしろいので、紹介してみよう。

あるお店で勤務している友達の話し。40代の女性がよくお店に来てくれるのだが、何でも虚言癖があり、人使いが荒いらしい。

そのお客が店に来ると、「ちょっとあなた、タバコ買ってきて」を皮切りに「○○しなさい」のオンパレード。店長は店長のくせに(←女の子曰く)そのお客に対して何にも言わない。


ある日、堪忍袋の緒が切れたバイト君が「いいかげんにしてください。」と言ったところ、お客は切れて店長を呼んだ。

店長は謝るのかと思いきや

「あなたのせいでうちのバイトはみんなノイローゼになっています」

と、はじめて勇気を振り絞ってひとこと言ったという。
 

そこでお客がどういう行動をしたのかは詳しい話がなかったが、それからそのお客が店に来るときはとても大人しくなったという。

お客の言うことが全て「顧客ニーズ」で、そういったニーズに応えるのがサービスだという、マネージャーや経営者は多い。

けれども尽くして尽くして、浪花節でやってそれが利益になっているのだろうか?

経営者としてあたりまえのことを、まず当たり前に考えてほしい。




●ご奉仕サービスでは従業員は腐ってやる気をなくす
上のケースで店長が言ったように、ご奉仕サービスをしていると従業員がノイローゼになる。

仕事にやりがいを感じなくなるし「何で自分がこんな目に」と思うようになる。もちろん今の仕事がますます嫌いになる。

マネージャーや店長や経営者が「何を言っているんだ、ニーズに応えることがサービスなんだ」と、何も考えずに強要しているところほど、従業員の顔の血色は悪い。

具体的にどうすれば良いかは「『できること』と『やらないこと』を決める」のコラムで紹介するが、まずは、経営者がご奉仕サービスを信仰した場合には従業員はとてつもなく苦しむということを知ってほしい。

従業員が苦しむようなご奉仕サービスの提供では、従業員は生き生きと笑顔でサービスを提供する事はできないし、イライラしていると本当に必要なお客にもイヤな顔をしてしまうかもしれない。

ボランティアのようなご奉仕サービスは結局のところ、お客にいい思いをしてもらうようでいて、実はお客離れを引き起こしている。

それというのも経営者が、ご奉仕がサービスだと信じていることに原因がある。

こういうのは全て経営者の自己満足だ。ここでご奉仕しておけば、きっといいことがあると考えて、自分で自分と従業員のクビを締めている。



●従業員がご奉仕サービス信奉者なら経営が腐る
逆のパターンを見てみよう。

経営者はしっかりと経営のことを考えてサービスを定義しても、従業員がご奉仕サービスがいいサービスだと思っているとしたらどうなるだろう?

お客に喜んでもらうことは、サービス業でもその他の業界でも絶対に必要な大切なことだが、それは利益がついてきてこそだ。

従業員にご奉仕サービスをしたい欲求があると、その場面場面で自分が信じる「いいサービス」を中心に何をするかを決定してしまう。

無作為にお客の欲求、たとえば「タバコ買ってきて」などに応え続け、自分がやっていることに対する満足感と、周りの従業員がそこまで行わないこと、経営者がそういった行動を認めないことに不満を抱くようになる。

言いたい放題のお客はそのスタッフがお気に入りだから、そこを窓口にして自分に都合のいい利益を流すことに集中する。

そのスタッフが休みの日には、こういう発言が生まれてくる。
「でも、○○さんの時はやってくれるって言ったわよ!」

こういう発言が出てくる状態が今まさにあるなら、経営者は相当気をつけたほうがいい。
もっとも、経営者の作ったサービスレベルがとても低くて、ある従業員だけがまともなサービスを提供しているのなら話はまた違ってくるが・・・。


このケースではもうひとつ、パターンがある。
ご奉仕サービスが社内で伝染していくパターンで、周囲の従業員もどんどんご奉仕サービスを取り入れていく。まして、経営者がこれを認めるケースさえある。

こうなると、ある特定の少数のお客とだけ強く太いコミュニケーションの関係ができて、新しいお客は近寄りがたい雰囲気が発生する。

既存のお客からの利益率が下がるだけではなくて、新規顧客が心理的に近寄りがたいということによって、全体の売上が下がる。



●お金を受け取ってこそ、サービス
サービスは有償である。

つまり、直接的、間接的に関わらずお金を受け取らない(受け取らない)ものはビジネスの世界においてはサービスには入らない、と定義できるはずである。

お客からお金を受け取れないものはサービスではなく「ボランティア」だ。奉仕。タダのお人よし。

言い換えれば、消費者がサービスに出逢ったとき「ああ、私はこのサービスには無条件でお金を出すわ」と言ってもらえるようならサービス業としては大成功だし、レベルの低いサービスはいくら有償だと叫んでも「金なら払わん」と言われるだけである。もともとそのことにお金を支払う価値がないのだから。


多くの人が勘違いしているのだが、サービスを提供されることで本当はお客も利益を得ているのだ。

お客とサービス提供者の関係はある意味、取引関係で、お客は「サービス」という利益を得る、サービス提供者は「収益」という利益を得る。言わば、利益を交換している関係なのだ。

だから、お金を受け取ってこそ「サービス」であり、無作為のご奉仕はサービスとはいえない。そういうのはボランティアに任せておけばいい。

ビジネスとして基本のこのことを良くわかっていれば、また、従業員にもよく伝えていれば、経営者のサービスに対する心配はかなり減っていくだろう。
 

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